13周年を迎えて

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    「たとえば漁師町のお寿司屋さんのように
     消費者と生産者をシンプルに繋げる。
     毎朝、この土地で採れた野菜を
     ダンボールいっぱいに仕入れて
     気取らずシンプルに調理して、
     皆様に別け隔てなくこの土地で提供する。
     その代価をいただきこの土地で暮らす。
     そんな小さな小さな循環を生む事。」

    一昨日にしれっと、13周年を迎えました。
    開店以来、大きくスタイルや考え方を変えず
    ろくすっぽ看板や広告も出さずに住宅街の一隅でやってこれたのは、
    皆様のおかげ、感謝感謝でございます。

    思い返せばオープンの2週間後に、東日本大震災に見舞われ
    “今が底”だと言い聞かせてどうにか這いつくばってきたものの、
    そのちょうど10年後にあの強烈なパンデミックで、飲食業が簡単に
    スケープゴートにされ存在意義が問われ、輪郭がふやけてしまい
    そんでもって今も続く外食離れは、その底さえが破れてしまって
    暗然たる地下に放り出さた感覚で、限界を感じざるを得ません。

    自分が作った場所、作った仕組みのなかで、やってもやっても
    安定などできないまま、もはや虫の息とは情けないですが、
    そもそも3年で7割もが廃業しちゃう飲食業、
    今や個人店が正攻法で真っ当に営業しても、
    当たり前の暮らしを確保することさえ難しくなっているのは、
    大きないくつもの理由が孕んでいて、もう生半可なガッツや
    アイデアだけでは、生き延ばせないのだろうと思います。

    つくば食堂花、13歳。
    時代のせいにしていて、不貞腐れていても始まらない。
    思春期か反抗期か、大きな転換を今年はしなければなりません。

    一見さんも常連さんも、10年ぶりのお客様も100回目のお客様も、
    どうぞどうぞ、いらっしゃいませ。
    しれっと、店が無くなっちゃう前に。

    『十周年を迎えて』

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      お陰様で先日の25日に十周年を迎えました。ありがとうございます。
      パーッとイベントでもやりたいところですが、ピンチはピンチ。
      せっかくの節目に抗えない深い底に落っこちたまま、
      先が読めないの中で粛々と通常営業する事が、せいぜいです。

      【10年前、テナントを借りた当時。ハンバーガー屋さんの居抜きでした】

      10年前こんな気持ちで始めました。
      「たとえば漁師町のお寿司屋さんのように
       消費者と生産者をシンプルに繋げる。
       毎朝、この土地で採れた野菜を
       ダンボールいっぱいに仕入れて
       気取らずシンプルに調理して、
       皆様に別け隔てなくこの土地で提供する。
       その代価をいただきこの土地で暮らす。
       そんな小さな小さな循環を生む事。」

      しかし店をスタートして2週間であの震災に見舞われて、
      そのままヨロヨロと一輪車操業が始まり、
      リニューアルの余裕も移転の覚悟も辞める勇気もないまま、
      大きくスタイルを変えられずに、「つづける」事だけで、
      貧乏暇なく手を動かしていたらあれよあれよと過ぎていった。
      震災の時は、どんな形でも店を開けておくことで、
      自分で作ったこの持ち場が、何かの役割になっていると感じた。
      しかし今回は、外食自体が社会的に否定されてしまった。
      同じ有事でもこの違いは大きく、とてもキツく
      店の存在意義や、この先の自分の仕事の根本的な意味を
      良くも悪くもあぶりだし、深く考える1年間になった。
      10年で9割もが潰れると言われる飲食業、
      ここにきて「つづける」難しさを更に痛感している。
      やりたい事とやれない事と存在する事と生活していく事。
      感情と勘定が環状にこんがらがって、答えを出せないままだが
      自分の仕事を「つづける」為に、11年目はいよいよ大きな変化が必要である。

      どこへ旅に出かけても、個人店に行く事が大好きだ。
      フラフラ街を歩き行き当たりばったりに、
      いい顔つきの店を見つけてドアを開ける瞬間が、この上ない時だ。
      いぶし銀な店、ヘンテコな店、寂しい店、色っぽい店、道端から生えてるような店。
      数値化できない、情報に倚りかかっていない店に会いたくて街へ出かける。
      今の自分の店はどんなだろう。
      小さい小さい一人称の“自分”なりの店を、
      大げさに言えば“自分”しかやれない店を作れているか。

      もっと食材を知り料理を楽しむ事、生々しい見聞を広げる事、
      好奇心、ひらめき、驚き、怒り、喜び。
      お先真っ暗でも、まだ自分にかすかに内包するこれらの光に従い、
      揺れながら、ズッコケながらも、この仕事を続けていきたいと思う。



      十周年を記念して「十字の箸置き」を作りました。

      笠間の土に、透け感のある白い釉薬でザラザラした仕上がりです。
      個体差が大きく、おもしろい感じになりました。裏には“花”と。

      ささやかですが、こっそりとお配りします。

      当店スタッフ、筑波大学で陶芸を学ぶ藤田悠希さんを中心に
      皆さんの力をお借りして作りました。ありがとう!


      花ありがとう!



      九周年を迎えて

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        取り留めもなくわーわーやってる間に九周年、昨日から十年目に突入しました。
        自分の尻尾を追っかけて回る犬のように、
        そう代わり映えしないこの景色の中をぐるぐると早回しで繰り返した九年間。
        まだまだ安定どころか、自分が仕掛けた仕組みのなかで
        回る事は止められないまま、新しい景色が遠く見えなくなっているよう。

        間違いなく時間分の経験は積まれ、技術はアップデートされ
        やれることが増えているはずなのに、縮こまっている事を実感するばかり。
        個人の飲食業が真っ当に健全に営業しても、もしくは様々な仕事においても
        当たり前の暮らしを確保することさえ難しくなっているのは
        いくつもの理由がはらんでいて、もう生半可なガッツやアイデアでは
        どうにもならないのかもしれない。

        映画の中の食卓の何気ないシーンが好きだ。
        例えば苦しい暮らしの中でも、居たたまれないような悲しい場面であっても
        料理を囲んでいるその瞬間だけは人々の心がほどけているように見える。
        昨夏訪れたバンコクでも、喧噪の中のちょっとした隙間にも屋台があって
        そこでは会話と笑顔がこぼれていた事が、ビビットに記憶に残っている。
        食べているそのひと時だけは、人々は平和で朗らかである。
        もしかしたらどうにもならないこんな時代だからこそ、
        私の仕事の個人の飲食業がとても必要だとも思う。

        オープン以来スタイルを変えずろくすっぽ看板や広告もださずに
        住宅街の一隅で今までやってこれたのは皆様のお陰でございます。
        毎朝ダンボールいっぱいの地野菜を仕入れては、シンプルに調理して様々な方に提供する。
        その代価を頂き私は暮らす。
        この小さな小さな循環を生む事が自分がこの土地でやるべき事だと思っています。

        吸収の九周年にしよう。
        私にしか出来ないことを考えよう。
        ため息をひらめきに変えて、
        さあ、十年目。


        おかげさまで、8周年。

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          DSC05225.JPG
          おかげさまで、8周年を迎えました。

          2011年2月25日オープン。
          その2週間後に震災がきて
          割り切れない気持ちを抱えたまま、
          一人親方バタバタとあれよあれよと気づけば8年。
          少しづつ変わったような、何にも変わってないような
          もっと酷くなったような、その間にいるような。

          あの日も今日も店の庭の椿は勇敢に咲いています。

          オープン以来スタイルを変えず、ろくすっぽ看板や広告も出さずに
          住宅街の一隅でやってこれたのは皆様のお陰でございます。
          毎朝ダンボールいっぱいの地野菜を仕入れては、
          シンプルに調理して様々な方に提供する。
          その代価を頂き私は暮らす。
          この小さな小さな循環を生む事が自分がこの土地でやるべき事だと
          あの震災があったからこそ強く思います。

          赤ちゃんでも安心して召し上がれる料理
          お年寄りでも身体への負担が少ない料理
          ご病気やアレルギー、宗教や思想など
          何らかの理由で制限されている方々全てが
          平等に同じテーブルを囲んで楽しめるような料理。
          たとえば、五百円の丼も一万円のコース料理も同様に
          ニーズとその条件の中で献立を考え、
          自分らしいやり方で自由にやる。
          この土地で採れた食材をふんだんに使って。

          よく会う人と
          会わなくなる人と
          会えなくなってしまった人の中にどうにか突き刺さったまま
          たかが8年、やっと8年。
          末広がりか、八方塞がりか。

          10年で9割もが潰れると言われる飲食業において
          当店もご多分に漏れず、我慢比べの毎日です。
          無くなっちゃう前に、どうぞいらっしゃいませ。
          バッチコイ!9年目。




          七周年を迎えて

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            大きな声では言えないけれど小さな声では聞こえない。
            「ありがとうありがとう」
            先日の2月25日にどうにか7周年を迎えました。
            まだひよっ子、気張らずに普段通りの営みです。

            オープン以来スタイルを変えず、ろくすっぽ看板や広告も出さずに
            住宅街の一隅でやってこれたのは皆様のお陰でございます。
            しかし、のんべんだらりと何にもしてないようでいて
            この素朴な食堂にも小さなドラマが毎日確かにあって
            その重なりの中で止めどなく揺れながら
            どうにか正解を見出そうとする、綱渡りの7年間でもありました。

            8年目も初志貫徹
            「たとえば漁師町のお寿司屋さんのように消費者と生産者をシンプルに繋げる。
             毎朝、この土地で採れた野菜をダンボールいっぱいに仕入れて
             気取らずシンプルに調理して、皆様に別け隔てなくこの土地で提供する。
             その代価をいただきこの土地で暮らす。そんな小さな小さな循環を生む事。」


            毎週ご来店のご家族も、月一、年一のコースのお客様も、いちげんさんも。
            毎度カウンターで酔っぱらう常連さんも。結婚式も仕出しも出張料理も。
            ご近所から県外から外国から、赤ちゃんからおばあちゃんから。
            皆様のニーズと条件の中で献立を考えて、自分らしいやり方で自由にやる。

            あっちゅうまに私も40歳を越えて永遠も半ば過ぎ、
            下り坂な体力と縮こまっていく自意識と向き合いながら、
            ひらめきと空想を信じて、馬鹿みたいなことも大真面目にやっていこう。

            お楽しみはまだまだこれからじゃねえか。

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            マメイケダさんに描いていただいた当店のランチのイラストを
            そなままマグネットにして、ささやかですが皆様にお配りしております。
            つっけんどんな店主のせめてもの埋め合わせでございます。
            潰れちゃう前に遊びに来てね。

            新年1月の営業について

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              今年もありがとうございました。
              つくば食堂花の2017年の営業は終了いたしました。

              1月7日(日)までお正月休みをいただきます。
              尚、8日(月)から仕込みで店におりますので
              新年のご予約はお電話で受け付けます。

              新年早々、変則的な営業が続きます。

              9(火)、10(水)はお弁当仕出しの為にお休み
              11(木)は仕立て屋のサーカスの準備
              12(金)13(土)仕立て屋のサーカス出展
              14(日)のランチタイムはその片付けと仕込みの為、お休み

              よって2018年の通常営業は、
              14(日)のディナータイムからとなります。
              大変ご不便おかけいたします。
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              仕立て屋のサーカス 東京公演
              予約受付中
              1.11 (thu) -14 (sun)
              at新宿ルミネ ゼロ

              1.11 (thu) 18:00 open / 19:00 start
              1.12 (fri) 18:00 open / 19:00 start 
              1.13 (sat) 昼公演 12:00 open / 13:00 start 
                    夜公演 18:00 open / 19:00 start 
              1.14 (sun)16:00 open / 17:00 start 

              12日と13日の夜公演は
              「空想世界一周サンドイッチ」
              今回のテーマは“Frontier”

              国境の食事について考える。
              国の端と端で食文化が触れ合い、混ざり、溶け合う。
              料理に憎しみや怒りはない。

              辺境の食事も気になる。
              まだ見ぬ土地の伝統的な暮らし、そこにしかない食材。
              毎日腹は減る。食べている瞬間は夢中だ。
              国境の料理、国境なき料理。
              さあ、空想しよう。

              13日の昼公演は、
              新作「宇宙船弁当」を引っさげて参ります。

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              ばっちこい、2018。

              六周年を数えて

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                すべって転んで六周年。
                お陰様で昨日、七年目に突入致しました。

                この土地の野菜の素晴らしさと
                庭の大きな木が気に入って店を開けた
                二週間後にあの震災に見舞われて
                ただ闇雲に徒手空拳のまま六年を数えました。

                それでも毎日、地元産のとびっきりな野菜を
                両手いっぱいに仕入れてシンプルに調理して様々な方に提供する。
                その代価を頂き私は暮らす。
                この小さな小さな循環を生む事を続けてこられた事に感謝です。

                限りある未来の中でまだまだやりたい事の半分も出来ていませんが
                今年こそは、見たかった景色を一枚一枚焼き直せたらと思います。

                オープン当時より少しだけ大きくなった木の下で
                今なんだか清々しい気持ちです。



                ささやかですが、六周年のありがとうを込めて
                当店の人気メニュー六つを載せた「花のレシピ新聞」を作りました。
                こっそりお配りしております。


                昨年の「五周年記念手拭い」に引き続き
                高橋香緒理さんにイラストとデザインをお願いしました。
                Kaori Takahashi
                http://takhskaori.info/

                手拭いは残りわずかですが、当店で販売中です。



                アメイジング・ツリー/長田弘

                大きな樹があった。樹は、
                雨の子どもだ。父は日光だった。
                樹は、葉をつけ、花をつけ、実をつけた。
                樹上には空が、樹下には静かな影があった。
                樹は、話すことができた。話せるのは
                沈黙のことばだ。そのことばは、
                太い幹と、春秋でできていて、
                無数の小枝と、星霜でできていた。
                樹はどこへもゆかない。どんな時代も
                そこにいる。そこに樹があれば、そこに
                水があり、笑い声と、あたたかな闇がある。
                突風が走ってきて、去っていった。
                綿雲がちかづいてきて、去っていった。
                夕日が樹に、矢のように突き刺さった。
                鳥たちがかえってくると、夜が深くなった。
                そして朝、一日が永遠のようにはじまるのだ。
                象と水牛がやってきて、去っていった。
                悲しい人たちがやってきて、去っていった。
                この世で、人はほんの短い時間を、
                土の上で過ごすだけにすぎない。
                仕事をして、愛して、眠って、
                ひょいと、ある日、姿を消すのだ。
                人は、おおきな樹のなかに。

                本年もありがとうございました。

                0
                  つくば食堂花の2016年の営業は終了いたしました。

                  新年5日(木)までお正月休みをいただきます。
                  尚、4日(水)の夕方から仕込みでお店におりますので
                  新年のご予約は、お電話で受け付けます。

                  そして引き続き、つくば食堂 花では
                  アルバイトさんを1名募集しております。
                  17時から21時位まで(最長でも22時)。
                  週2回以上で週末(金曜・土曜)も入れる方。
                  制服貸与、賄い付き、たまに飲み会。
                  担当・植田まで、お問い合わせください。
                   

                  本年もありがとうございました。
                  どうぞ、良いお年を。



                  ごあいさつ

                  0
                    おかげ様で今月の25日に五周年を迎えます。

                    思い起こせば地元であるこちらで開業するに至った一番の理由は
                    上京の15年余りの和食修行の際に、茨城の野菜の素晴らしさを
                    思い知ったからでした。
                    私が生まれ育った土地には誇るべき食材があるという事に気付き
                    自分のやってきた料理を通して、消費者と生産者をシンプルに繋げられる
                    気取らない和食店が持てたらと考えました。

                    そして故郷の下妻市からほど近いこのつくばでテナントを探し
                    庭の菩提樹とヘンテコな造りの古民家が気に入り、お借りしました。
                    元ハンバーガー店からの大幅な改装と立ち上げまでを出来る限り自分と
                    仲間の手で行い、やっとの事オープンにこぎ着けました。

                    その二週間後にあの震災に見舞われました。
                    出来たての店が大きくスローモーに揺れている姿は
                    脳裏に鮮明に焼き付いています。それから一年は店に住込み
                    ただ闇雲に毎日を繰り返すだけ途方に暮れてもいられず、
                    悲しみを胸底に閉じ込めて「自分の店」という実感が掴めないまま
                    気付いたら五年が過ぎようとしています。

                    それでも、街の端っこでろくに看板も掲げずも続けてこれたのは
                    お客様のごちそうさまの声だったり、食べ残しのないお皿だったり
                    頼もしく育っていくスタッフ達だったり、
                    ご飯を食べに来てくれる両親の姿だったり
                    四季折々に表情を変える庭の菩提樹だったり。
                    闇雲だけれども繰り返え繰り返した、五年間を振り返る事で
                    今やっと「自分の店」が始められるような気がします。

                     「たとえば漁師町のお寿司屋さんのように
                     毎朝、この土地で採れた野菜をダンボールいっぱいに仕入れて
                     シンプルにに調理して、別け隔てなくこの土地で提供する。
                     その代価をいただきこの土地で暮らす。そんな小さな小さな循環を生む事。

                     五百円の丼ぶりも一万円のコース料理も同様に
                     ニーズとその条件の中で献立を考え、自分らしいやり方で自由にやる。
                     地野菜ふんだんに使ったお客様と自分がワクワク出来るようなお店を目指そう」

                    支えて下さった皆々様に感謝を込めて
                    ピースサインを贈ります。


                    友達とスタッフの力を借りて、五周年にちなんだ企画をご用意しました。
                    いちげんさんも常連さんも
                    どうぞどうぞいらっしゃいませ。

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