でもやるんだよ
人手不足が深刻だ。
求人をしてもなしのつぶて
営業時間を縮小するどころか、
そのまま力尽きる店も出てきている。
そもそも3年で7割が潰れていく飲食業。
もうずっと前から、やってもやってもどうにもならない
局面に入っていて、更にコロナ渦に物凄い速さで
ライフスタイルの変化が起こって、外食離れや酒離れが進み、
デジタル化に無人化、インボイス、デリバリーも整った。
このスピードに、ついて行かずとも確実に巻き込まれる。
その上、ありとあらゆるものの原材料が値上げして、
やればやるほど割を食うところまで、ダーッときてしまった。
求人広告を出したり給与をグンと上げたり出来れば
スタッフは集まるのかもしれないが、余力がある個人店は少なく
人件費と仕入れと赤字のジレンマで出口を見失っている。
資本があれば大手のようにバンバン自動化を進めて
大量仕入れとセントラルキッチンによってあらゆる費用を
抑えられるだろうが、価格と便利さだけを突き進める先の
ロボットと冷凍食品が中心の店だけでは、そりゃ味気ない。
この強烈な転換期後に飲食店は、チェーン店と一部の高級店しか
残らないかもしれない。その真ん中で中途半端に揺れている、
うちのような庶民の店、ただ真っ当に手で作った物を出す店が、
どんどん力尽きてしまうんじゃないかと危惧している。
昔はよかったとは言いたくないけれど、このまま突き進んでいったら
取り返しがつかない、詰まらない世の中になってしまうのではないか。
どんな街へ行っても、毛細血管のように居酒屋や食堂やバーがあって
その土地の人と話しながら、郷土料理や地の酒が飲める事の素晴らしさ。
どんなAIでも数値化できない、個人店それぞれが内包する空気感。
得も言われぬ体験こそが、私にとってのかけがえのない時間である。
新しいものを好きになると同じくらい、古いものを好きでい続ける必要。
若い人たちが、普通に働きたくなる仕事になるように具体的にどうするか。
ひらめきとアイデアで切り抜けられるか。楽しくやり続けられるか。
自分も含めて、ここはいっちょ踏ん張ってどうにか残って欲しいと願う。