年末年始雑感 2016

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    2016年がまだ続いている。
    今、2016年14月12日の深夜。

    僕のような生半可な人間が自分の店なんて持ってしまうと
    ただ毎日の仕事に追われるばかりで一年を振り返る隙間も持てない。
    今更になって、おきざりの着膨れた一年分の感情に
    針を差していったんぺしゃんこにしておく必要。感情棚卸。

    いつ何が起きてもおかしくはない。
    天災さんやトランプさんやポピュリズムさんや東京電力さんやらの
    気味悪さにも指をくわえて見ているほかはないのだ。
    この小さな地球の上で、抗えないいくつもの不条理と愛想笑いで同居していくんだ。
    明日無くなっちゃうかもしれない不実な今日を繰り返すだけなだとしても
    もったいないから生きてやる。
    まずは今日、会いたい人と会って、やりたいことをやって、見たい景色を見よう。

    何でも言っていい世の中と何も言っちゃいけない世の中が作り出す空洞の中で
    多様化と蛸壺化が加速する。
    嘘も本当もごじゃまぜのカラフルでプラスチックみたいな情報で埋め尽くされている。
    1伝えたら10わかるではなくて、10伝えるために100必要であっても、
    面倒くさがらずに、線を引かずに、
    はぐらかさないで分かり合おうとするマトモな人間でいられるだろうか。
    もう、ホンモノとかモラルとかセイギとかどうでもいいのかもしれない。
    僕は面白い事やカッコいい事だけに幼稚に反応して動き出したい。
    いびつでも過激でも君は君なりの僕は僕の言葉を持つべきだ。
    君と僕以外は全部CGだ。

    金が無いとき程、金の事を考えなくてはならない。
    気持ちがガサついているとき程、どうでもいい事が引っ掛かる。
    勘定と感情を比べあいっこしても環状にぐるぐると絡み合うのが常で。
    ゆりかごから墓場まで、ブルースは続くんだよ。

    満員電車で皆が皆がスマートフォンをいじっている光景は悲劇に思う。
    物がインスタントに集約されていくコンビニに違和感を感じる。
    コンビニとスマートフォンだけで全部済んでしまうような便利さの先に何があるのか。
    せめて自分はスマートフォンもテレビも持たずに、繋がらないように麻痺しないように。


    2016年の強い印象
    店の定休が月曜なので美術館や週末のライブにはいけずに、休日は映画を観ることが多い。
    そのあと酒場で、脳裏に引っ掛かるシーンをつまみに酒を飲む事が私の宝である。

    映画
    怒り (李相日監督)
    永い言い訳  (西川美和 監督)
    victoria  (Sebastian Schipper監督
    fake (森達也監督)
    この世界の片隅に (片渕須直監督/こうの史代原作)

    旅行
    バルセロナ
    毎年夏休みの一週間の貧乏旅行で、本来のリズムを取り戻している。

    ライブ
    パスカルズ(STAR PINE'S CAFE)
    形容できない不一致が目の前で混ざって自由に音楽している。
    無秩序で開放的。チープでテクニカル。へなちょこでグレイト。
    悲哀と多幸に同時に包まれる瞬間もあった。美は乱調にあり。

    The End 友部正人(La cana)
    2016年に仕込み中に一番聴いた二枚のライブ。

    仕立て屋のサーカス(LUMINE0)新しく鋭く美しい。
    料理出展としてお手伝いさせて5回目。毎回ドキドキします。


    つい先月にジャスト40歳になりました。
    真夜中、凍るような風に吹かれてコンビニまで歩く。
    赤飯おにぎりと缶ビールでお祝いだ。
    もし明日の朝に雪が降って、まるで景色が少し違ってみえても
    昼間には溶けて、いつもと変わらぬ感じなんだろう。

    本を読めば読むほど自分未熟さを知る。
    歩けば歩くほど世界の広さを思い知る。
    料理を作るほど自分の腕を疑う。
    年をとるという事はどんどん自分が小さくなっていく事なのかもしれない。
    もしかしたらどんどん若くなる事かもしれない。

    いつもと変わらない景色のなかでじりじりと縮こまっていく自分の叙景を一番先頭で眺めてやりたい。
    さあ僕よ更新交信孝心行進だ。2017年を始めよう。




    アナクロニズム

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      携帯電話が壊れて、同じ携帯電話へ。


      パジェロミニ(ボロ)が壊れて、エブリィ(ボロ)へ。
      お店のオープンと共に約6年間よく頑張りました。


      便利が過ぎるテクノロジーの時流に乗り遅れたまま
      いつまで経っても前にも後ろにも進めずに
      自分のしっぽを追いかけてクルクル回る犬のように
      同じところで同じようなことをひたすらやっている。


      イチョウの葉と同時に雪がフライング気味に舞って
      まだ11月なのに、お構いなしの冬が始まる。
      来週辺りからは忘年会シーズン突入、
      一人親方クルクル駆け回れ。
      シワッス、師走。

      出発することだ

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        10代、20代ならまだしも
        「30代最後の夏」には、ドラマ性を感じられない。
        そのサマにならないお年頃の私、ザ・39歳。

        サービス業を20年間続けてこのかた
        GWもお盆もへったくれも休んだ記憶はないけれど
        20代のはじめに、この本を読んでから
        毎年必ず無理矢理にでも、長めの休みを作って
        どこか遠くへ出かけるようにしています。



        「バスを一台乗り遅れることで、全く違う体験が待っているということ。
        人生とは、人の出会いとはつきつめればそういうことなのだろうが、
        旅はその姿をはっきりと見せてくれた」

        「僕たちが毎日を生きている瞬間、
        もうひとつの時間が、確実に、ゆったりと流れている。
        日々の暮らしの中で、心の片隅にそのことを意識できるかどうか、
        それは、天と地の差ほど大きい」

        「結果が、最初の思惑通りにならなくても、そこで過ごした時間は確実に存在する。
        そして最後に意味を持つのは、結果ではなく、過ごしてしまった、
        かけがえのないその時間である」

        「大切なことは、出発することだ。」

                         "旅をする木"から引用。

        星野さんが亡くなって二十年も経つんだね。あれも夏だったな。



        30代最後の夏、そしてきっと独身最後の夏。
        私の夏がやっと始まる。
        今年もこの本を携えて出発するんだ。


        8月26日(金)から9月2日(金)まで夏期休暇をいただきます。
        ご不便をおかけしますがご理解を賜りたくお願い申し上げます。

        年末年始雑感

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          ぐるぐるぐるぐる、気付けば年が明けている。
          ひたすら同じ場所で洗浄と脱水を繰り返しただけ。
          濡れたまま前進も後退も出来ず、まあもう、磨耗。
          しらっちゃけて毛玉だらけの私の、一年間で残った手掛かりと言えば
          心の隅のネットに引っかかり溜まっている得の知れないゴミ。
          そんな不実な感情をつまみ上げてここに書き記す。


          2月 yes you are
          仕立て屋サーカスへ料理出展
          「即興的」であること。
          枠にはまらず自由に思うままに何度も瞬間を生み出すこと。
          質問と答えの真っ只中、
          プラスの必然性とマイナスの必然性がせめぎあうその瞬間
          正解を選択し続けようとする試み。
          全ての過去と未来を同時にはらんでしまっている
          悲しく新しい今をくっきりと浮かび上がらせてみる行為。
          私はすべての即興に憧れる。


          5月 i am not i
          十年間の愛が終わった。
          同時に今も未来も跡形もなく崩れたみたいで
          息もできないくらいの弱っちい日々。
          何もわらないという事だけが、よくわかったよ。

          8月 夏休み −×−
          数学的に云うとマイナス×マイナスはプラスになると言うことで
          混沌に混沌を掛け合わせて、私なりの秩序と正解を取り戻そうと
          中東へ旅にでたが、逆に強烈な混沌を背負って日本へ戻った。
          一滴の水でシュッと溶けてしまう綿飴みたいなフワフワな精神。
          ただ少しだけ希望があるとするならば、帰っても仕事があるという事くらい。

          12月 n.o.
          師走の強烈な忙しさ。
          疾走感と失踪感、脇目も振らずに走り切って
          何か大切なものを取り返すかの如く
          正月休みは、昼から食っちゃ寝、呑んじゃ寝。





          さあ、あけましておめでとう。再生の朝。


          ブルーズが延々と広がる。
          不安さんや絶望さんとねんごろになって折り合いを付け続けなければならない。
          2万9千円六畳一間のアパートには相変わらずカーテンはなく斜陽が刺さる。
          ここには、冷蔵庫もアイロンもテーブルもない。
          そして、携帯を失くした。今日パソコンが壊れた。
          思い出は全部置いてきなさいよと、きっと神様の仕業。

          今あるのは完璧な日当たりとベッドとテレビとこの前もらった大きなテレビだけ。
          愛も才能もお金もないまま、昨日で39歳になりました。
          反省も抱負も浮かばない
          「先を思うと不安になるから今日のところは寝るしかないね」



          2015年の強い印象

          映画
          恋人たち(橋口亮輔)
          マミー(グザヴィエ・ドラン)
          サイの季節(バフマン・ゴバディ)

          ライブ
          寺尾紗穂 (伝承ホール)(つくば食堂花)
          友部正人 (スターパインズカフェ)
          川下直広カルテット (つくばフロッグ)
          goma&the jungle rhythm section (サムズアップ)


          水と水が出会うところ (レイモンド・カーヴァー)
          黒い波 (ドラゴ・シュタンブク)


          手と花(神田)
          cox(つくば)
          伎魯伎魯(祇園)

          ドキドキは私にとって太陽である水である。
          私に内在する種から芽をだしてくれる。
          映画(DVDを含む)を百本くらい観た。
          歳を食えば食う程に、詰まらない映画を見かけなくなったのは
          寛容になったというよりは、自分の視点が増えたんだろう。
          詰まらないと面白いの隔たりは案外、傲慢でデタラメで
          ちょっと角度を変ただけで、全く新しい景色が見えたりもする。

          今年はどれくらいドキドキできるだろう。
          ぐるぐるぐるぐる
          どうぞ、擦り切れちまうまえに、始めよう。

          風待ちの花

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            ご近所の
            manufact jamさんで
            花器と創花展 「風待ちの花」
            http://manufact-jam.com/
            6/6(土)-21(日) 火水曜定休
            池田大介
            稲吉善光
            尾形アツシ
            竹下鹿丸
            山田隆太郎
            heck.haru

            会期中に
            小春丸 花のワークショップ「花薫風」も
            6/12(金)13:30 – 16:00
            6/14(日)13:30 – 16:00


            6/28(日)
            kitchen Soyaさんで
            遠藤賢司「うれしたのしや エンケンライブ」
            http://kitchen-soya.com/

            7/31(金)
            Jazz Bar Frogさんで
            木村充揮(憂歌団)「ひとり旅 夏ツアー2015」
            froginfo.blog55.fc2.com/

            風待月とは6月の異称。
            雨多く蒸し暑い頃、風を待ち恋しく思う 
            ささやかな風にも、喜びを感じる
            そんな意味があるそう。

            この街には、目を凝らすとワクワクするような事がたくさんある。
            心の窓を全開にして、鬱陶しい日日を吹き飛ばそうぜ。

            四周年

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              お陰様で昨日、五年目に突入致しました。
              しかしまだまだひよっ子、イベントなどは特にせず
              気張らずにいつも通りの営業です。

              思い起こせば四年前に地元であるこちらに戻り開業するに至った一番の理由は、
              東京で十五年余りの修業の際に茨城の野菜の素晴らしさを思い知ったからでした。
              自分が生まれ育った土地には誇るべき食材がたくさんある事を見落としていました。
              例えば漁師町の寿司屋さんのように消費者と生産者を極シンプルに繋げる事、
              自分の料理を介して人々の心身が豊かになる。そんな店が持ちたいと考えました。

              物件探しから改装と立ち上げの一切を一からできる限り自分で行い
              やっとこさ店をり上げた二週間後にあの震災がやってきました。
              地野菜を主役にした飲食店でしたので、地震とその原発事故の影響もまともに受け
              しばらくは宿無し生活、頭も心も混沌とした砂を噛むような日々でした。

              人間は自然を前にしては無力であることを痛感し、
              全ての意味が削がれていくなかでも「飲み食い」をする間だけは
              不思議と心が穏やかになれました。
              近所の居酒屋さんの灯りに、珈琲屋さんの一杯に救われる事もありました。
              自分の仕事、飲食業がいかにシンプル且つ重要か再認識したのもこの時期です。

              あれから丸四年、震災と共に歩いて来たような気がします。
              街の端っこでろくすっぽ看板も掲げずもちょこまかちょこまか店を続ける事で
              たくさんのお客様に知って頂けるようになりました。
              毎朝ダンボールいっぱいの地野菜を仕入れては、シンプルに調理して様々な方に提供する。
              その代価を頂き私は暮らす。
              この小さな小さな循環を生む事が自分がこの土地でやるべき事だと
              あの震災があったからこそ強く思います。

              赤ちゃんでも安心して召し上がれる料理
              お年寄りでも身体への負担が少ない料理
              ご病気やアレルギー、宗教や思想など
              何らかの理由で制限されている方々全てが
              平等に同じテーブルを囲んで楽しめるような料理。
              たとえば、五百円の丼も一万円のコース料理も同様に
              ニーズとその条件の中で献立を考え、
              自分らしいやり方で自由にやる。
              この土地で採れた食材をふんだんに使って。

              そんな料理を作り続けていきたいです。
              ありがとうございます。


              年末年始雑感

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                すべって、転んで2014。

                満身創痍の仕事納めから毎晩、突っ伏すまで飲んでいる。
                それは自暴自棄に全てを忘れようとしている訳でも
                自問自答に今年を振り返えっている訳でも無く、
                混沌とした大衆酒場で弱っちくも浮かんでくる、
                萎びた希望をすくって焼酎と割り飲み干しているのだ。

                とりとめもなく降り積もる毎日から浮かび上がる老廃物がある。
                誰かさんの口先の美しい言葉より、テメエの切羽詰まった暴言を信じよう。
                決めつけるのではなく開放するためにLOW HIGH!
                「流れるな花、されど日々」
                酔っ払いのタワゴトだけれど、忘備録としてここに総括しておく。

                 マルかバツじゃなくってサンカクってのもあるんだね。
                 白、黒じゃなくってグレイってのもけっこうキレイなもんだ。
                 どっちかじゃなくて、どっちもってのもアリだと思うよ。
                 奪ったり否定したり壊したりするじゃなくって
                 ただそこにある灰色や△の具合を伝えることの難しさと必要性。
                 馬鹿馬鹿しいことを全力でやろう。
                 どうだい?

                 自民党圧勝、イスラム国、しったかぶりのTV、滑稽なやり方。やるせない世界。
                 歳をとればとるほどにわけがわからない事が増えていく。
                 理屈は通っていても血が通ってないことに怒りを覚える。
                 
                 
                 だからこそ日本国憲法の前文、この素晴らしいヒューマニズムを守りたい。
                   「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、
                    平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」 拍手!

                 フェスやら何やらの散々手垢のついた、四角四面にパッケージングされた
                 イベントに皆同じような服を来て出掛ける。
                 たとえば、流行のパンケーキを何時間も並んで食べる。
                 それは体験というよりは、消費にかぎりなく近い。
                 不味くたって失敗したって、何度も何度も自分でパンケーキを焼き続けるのよ。

                 「人類皆病気」だと思っている。
                 僕も君もおかしいんだ。心か体に何かしら不良がある。
                 だから、どこにスポットライトを当てるのか。 それが重要である。
                 物事はいつでも多面体である。たくさんの矛盾をはらんでいる。
                 だから、ちょっと角度を変えてみると違った側面が見えてくる。
                 見る人の数だけ価値観があるのだから、同じ数の事実が共存する。
                 真実はひとつだなんて、それはきっと美しい嘘だから
                 ただ一辺倒に決めつけることなく、粗雑にククることなく
                 光の当て方を変えてみよう。
                 
                 
                 自分の店を持ってからというもの倍速で時間が過ぎる。
                 そのくせ頭の中はときどき止まっているようである。
                 動き続けなくてはならないルーティンと幼稚なままの思考、
                 やりたい事が半分も出来ないままに、砂を噛むように今年も終わります。


                印象的な物事2014
                三十歳を越えてから物欲は極端に減り体験欲と経験欲が増えた。
                休日は、どこかへ出かけて感じる事が楽しい。

                 【映画】
                 私の男 (熊切和嘉)
                 百円の恋 (武正晴)
                 そこのみにて光輝く (呉美保)
                 ジャージーボーイズ (イーストウッド) 自分の美学で生きる事。
                 罪の手ざわり (ジャ・ジャンクー)

                 【店】
                 pejite(益子) http://www.pejite-mashiko.com
                 YAECA HOME STORE(白金) http://www.yaeca.com/home.html

                 【ライブ】
                 友部正人 (当店)
                 友川かずき (目黒APIA)
                 二階堂和美 (グローブ座)
                  3時間、アンコール3回、全30曲程をぶっ通しで。赤子のように全身全霊さらけ出すステージング。
                  歌が音楽を越える瞬間を観た。底抜けの楽しさのすぐ横に悲しみが横たわっている、至極のショウであった。

                 【芝居・即興】
                 小指の思い出 作:野田秀樹 演出:藤田貴大 (東京芸術劇場)
                 小春丸 Botanical Improvisation (つくば/千年一日珈琲焙煎所)

                 【絵・器・写真】
                 西脇一弘イラスト展(つくば/千年一日珈琲焙煎所)
                    グレーが印象的な厚みのある人物画。やわらかく深いキャンバスの中で、眠っているかなしみ。
                 小林東洋 作陶展(つくば/シンゴスターリビング)
                 アントワーヌ・ダガタ「抗体」展 (渋谷/アツコバルー)
                    この世に出口なんかない かすかな光もない暗闇の底から
                    抵抗する叫びの中心に 輝きが内包しているのかもしれません

                 【本】
                 ウンベルト・サバ詩集
                   一生かけて向かい合いたい宝物のような本。

                 【旅行】
                 ベルリン→プラハ→ウィーン
                   10日間とにかく歩いた。そして一日を噛みしめるように酒場で飲んだ。
                   感受性容量いっぱいいっぱいまで、絵や写真を見た。毎日震えた。
                   あの角を曲がると素晴らしい景色があるかもしれない。
                   私は、ずっと歩くことをつづける。

                 高知市→室戸岬
                   早朝、海を見つめるおじいちゃん達の眼差し。皆、元漁師だそう。 

                 私が好きな物事には、全て「気配」がある。
                 目には映らないし耳にも届かないけれども
                 良いものには全て、言葉には表し難い何かが漂っている。
                 計算だけは作れない、技術だけでも追いつかない、
                 その「気配」を探したい、大切にしたい。

                 そして図々しい私は圧倒的な「共感と脅威」も欲しがっている。
                 気付いたら持っていかれていて、そしてぐるりと裏切られる感じ。
                 何度も行きたくなる場所があるように、何回も観たくなる映画や音楽がある。


                2015 1月4日
                38歳になりました。
                ずっと遠くまであるような「寿命」は、うまくいってもあと半分程で仕舞う。
                私の一生は季節で言うと、ちょうど夏から秋に移ったとこだろう。
                この有限と不実のなかで、どれくらい「気配」を見つけるだろう、作れるだろう。 
                変わっていく感覚に敏感であること。
                それを受け入れること恐れないこと。

                静かな店内で黙りこくって大根の皮をいくつもいくつもぐるりと剥いていると、
                休み明けのメランコリーもいつかの深酒も全部吹っ飛んで、ただただ穏やかな感情になる。
                料理を15年余り続けると、一丁前にこんな気持ちになるのか。







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